糖尿病
diabetes

糖尿病

糖尿病とは生活習慣病のひとつで、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)の高い状態が慢性的に続く病気です。

厚生労働省の調査(2018年)によると、糖尿病患者数(予備軍の人も含む)は、約2,000万人と推計されています*1

*1厚生労働省|糖尿病患者数の状況

糖尿病といっても初期や軽症の場合には「無症状」です。気づかないうちに進行して、体重減少や「尿から甘い匂いがする」といった自覚症状は病状が進んでから現れます。高血糖状態を放置していると、目・腎臓・神経の深刻な合併症を引き起こす可能性が高くなるだけでなく、動脈硬化にも繋がります。動脈硬化が進行すると脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、腎臓病など命にかかわる危険な病気を招く恐れがあるため、「早期発見・早期治療」が重要となります。また、糖尿病の人は「認知症」になりやすいことも知られています。

健康診断・人間ドックなど血液検査で血糖値が高いと指摘された方、ご家族に糖尿病の方がいて心配な場合には、お気軽に当院までご相談ください。

糖尿病の基礎知識

糖尿病と言うと、「血糖値」「インスリン」といった言葉が有名ですが、どんな病気なのかまではご存じない人の方が多いかもしれません。

血糖値とインスリンの働き

血糖値とは「血液中のブドウ糖の量」のことです。

私たちは、エネルギー源としてごはん・パン・麺類といった炭水化物を多く食べています。これらの食品を摂取すると、消化によって腸内で「ブドウ糖(糖)」に変換されます。その後、ブドウ糖は小腸から吸収されるため、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が高くなります。

つまり、食事をすれば、誰でも血糖値は上がりやすい状況になります。

こうした上昇したブドウ糖の量「血糖」を正常範囲に調節しているのが「インスリン」です。

インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンのひとつで、血糖を下げることができる唯一の存在です。すい臓のβ(ベータ)細胞が、血糖値の上昇を感知すると、血中に「インスリン」を放出します。インスリンはブドウ糖を必要とする細胞や組織に糖を送ったり、余ったブドウ糖を肝臓に運んで「グリコーゲン」に変えたりして、血糖値が上がり過ぎないよう作用しています。

しかし、何らかの原因でインスリンが正常に分泌されない、あるいは働きが弱い場合には、血液中にブドウ糖があふれてしまう状態(高血糖)が続き、「糖尿病」となります。

血糖値の分類

日本糖尿病学会では、血糖値を「糖尿病型」「境界型」「正常型」の3つに分類しています。

糖尿病と診断するには、検査で「糖尿病型を2回確認した場合」など一定の条件があります。

  • 糖尿病型

次の①~④のうち、いずれか1つでも当てはまれば「糖尿病型」と判断されます。

  1. 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  2. ブドウ糖負荷(75gOGTT)*2後2時間の血糖値:200mg/dL以上
    *2 75gOGTT:インスリンの量や効き具合をみる検査方法。
  3. 随時血糖値(食事と採血時間の関係を問わず測定した値):200mg/dL以上
  4. HbA1c(血中の糖化ヘモグロビンの割合):6.5%以上
  • 境界型

糖尿病型と正常型のどちらにも属さない場合

  • 正常型

空腹時血糖値:110mg/dL未満およびブドウ糖負荷2時間後血糖値:140mg/dL未満

糖尿病になりやすい人

日本人を含むアジア人は、欧米人と比べてインスリン分泌能力が低いとされています。
そのため、日本人は体質的に糖尿病になりやすいと言えます。
以下に思い当たる項目が多い程、糖尿病になりやすい傾向がありますので、注意が必要です。

  • 甘いもの・脂っぽい食べ物が好き
  • 日頃から車移動が多く、運動不足
  • 外食が多い
  • 肥満
  • アルコールをよく飲む
  • 日頃からストレスを感じることが多い/ストレスが溜まりやすい
  • 睡眠不足
  • 家族に糖尿病の人がいる

糖尿病の症状

糖尿病は知らない間に発症・進行しやすい「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれる病気のひとつです。

糖尿病の症状

糖尿病を発症しても、基本的には「無症状」です。

ただし、自覚症状がないからと言って、放置して良い病気ではありません。自覚症状として現れていませんが、水面下では少しずつ血管の動脈硬化が進んだり、神経・目・腎臓の働きが悪くなったりしています。

高血糖状態が続くようになると、以下のような症状がみられることがあります。

  • のどがよく渇く
  • よく水を飲む
  • 尿の回数が増える
  • 食べているのにやせる
  • 体がだるい・疲れやすい
  • 目がかすむ
  • 陰部がかゆい
  • 手足がしびれる 

また、かなり進行すると、次のような症状が現れることもあります。

  • 尿から甘いにおいがする
  • 頭痛
  • めまい
  • 肩こり

ただし、頭痛・めまい・肩こりなどの症状は必ずしも「糖尿病によって起きている」とは言い切れないため、普段と違う症状に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。

糖尿病の合併症

糖尿病の患者さんは合併症に注意が必要です。血糖コントロールが不十分で高血糖状態が長く続くと、次第に血管がもろくなっていくため、様々な合併症が発症・進行することがあります。

高血糖状態では特に細い血管からダメージを受けていくので、「細小血管合併症」は糖尿病特有の合併症とされます。

細小血管合併症の代表的な病気には、次の3つの病気があります。

  • 糖尿病神経障害

糖尿病発症(高血糖状態)から5年ほど経つとみられる合併症です。手足の神経から侵されていきます。

【主な症状】手足(足から)のしびれ、違和感、冷えなどの感覚障害

  • 糖尿病網膜症

糖尿病発症から8年くらい経つと、今度は目に障害が現れ、視力が落ちてきます。網膜は光を感じる部分であり、網膜の血管が傷むことで光の感知が悪くなります。

網膜症は成人の主な失明原因であり、年間約4,000人の方が糖尿病によって失明しているとされます。

【主な症状】目がかすむ、まぶしく感じる、眼底出血、黄斑症、白内障、失明など

  • 糖尿病腎症

糖尿病発症から10年~15年経つと、腎臓の機能が悪化します。高血糖状態が続くことによって、血液をろ過する細い血管の塊である「腎糸球体(じんしきゅうたい)」が傷み、尿中にタンパク質が漏れ出てきます。

糖尿病腎症は、慢性腎臓病・透析導入の原因の第一位です。しかし、腎症初期は無症状な場合も多く、症状が現れてくる頃には腎臓病が進行しています。きちんと定期検査を受けて、早期発見することが大切です。

【主な症状】足がむくむ、血圧が上がる、だるいなど

ほかに、太い血管の障害による合併症として、以下のような症状が現れることもあります。

  • 脳梗塞

血栓によって、部分的に血流が滞り、その先の細胞に酸素・栄養が届かなくなって、壊死します。麻痺・しびれ・呂律(ろれつ)が回らないなどの症状が現れ、後遺症が残るケースもあります。

  • 心筋梗塞

心臓に血液を送っている動脈が完全に詰まって、心臓の筋肉が壊死します。激しい胸の痛み、ショック状態、動悸、冷や汗が現れて、命を落とす場合もあります。

  • 末梢動脈疾患

これまで下肢慢性動脈閉塞症、閉塞性動脈硬化症と呼ばれていた病気です。足の動脈が狭くなったり詰まったりすることで、血流が悪くなります。間欠性跛行*3(かんけつせいはこう)、痛みで歩行距離が短くなる、安静時にも痛みなどの症状が現れます。

*3間欠性跛行:歩いていると、お尻・太ももなどに痛みが出るが、少し休むと再び歩けるようになる状態。

糖尿病の種類と原因

 糖尿病には、原因不明で突然発症する「1型糖尿病」、遺伝・環境要因が原因の「2型糖尿病」、妊娠中によって一時的な糖代謝異常が起こる「妊娠糖尿病」、薬剤や他の病気が原因となる「その他」の4タイプがあります。

糖尿病の種類と原因

1型糖尿病

子ども・青年・痩せ型の方を中心に幅広い年代で突然発症するタイプです。β細胞の破壊が起こる原因は明らかになっていませんが、自己免疫との関連性が指摘されています。別名「インスリン依存性糖尿病」とも呼ばれ、自力でインスリンを作ることができないので、体外からインスリンを補う必要があります。

【発症の仕方】突然発症

【原因】直接原因は膵臓のβ細胞の破壊により、急にインスリンを作れなくなる「インスリン欠乏」

2型糖尿病

日本の糖尿病患者さんの90%以上を占める「生活習慣病」のひとつです。中高年に多く、遺伝因子と生活習慣などの環境要因が関与して発症すると考えられています。

気付かぬうちに発症し、病状が進行するまで無症状の場合がほとんどです。

【発症の仕方】気づかぬうちに発症

【原因】なぜ起こるかははっきりしていませんが、直接的原因として以下の2つがあります。

  • インスリン抵抗性(作用障害)

インスリン自体は作られていても、作用が十分に発揮できない状態です。インスリンの効きが悪くなるので、ブドウ糖が細胞に運ばれず、血液中に余ってしまい血糖値が下がらなくなります。内臓脂肪が多い方や筋肉量が少ない方に多くみられます。

  • インスリン分泌障害

すい臓の機能低下によって、インスリン自体を作れなくなってしまう状態です。血糖を正常値に戻すためにすい臓がインスリンを作ろうとしますが、すい臓が徐々に疲労していき、インスリンを分泌する力も徐々に低下します。

遺伝的要因や加齢が影響しています。

妊娠糖尿病

妊娠時に初めて確認される「糖尿病1歩手前」の軽い糖代謝異常のことです。妊娠中は軽い糖代謝異常でも母児に大きな影響を及ぼすことがあるので、特別な配慮が必要です。多くの場合は出産後に戻りますが、妊娠糖尿病を経験された方は、経験されていない方に比べて将来の糖尿病発症リスクが高くなります。

【発症の仕方】妊娠時のみ出現

【原因】胎盤から出るホルモン・酵素の影響により、インスリンが効きにくくなる

その他の原因

何らかの病気や薬の副作用により、血糖値を正常に保つためのインスリン・ホルモンのバランスが崩れることでも発症します。

【原因】内分泌系疾患、すい炎、肝疾患、感染症など糖尿病以外の疾患、ステロイド、インターフェロン、一部の抗がん剤など薬剤

2型糖尿病の発症リスクを高める要因

日本人の糖尿病患者さんのほとんどは、遺伝因子と環境要因が影響し合い発症する「2型糖尿病」です。
2型糖尿病の発症リスクを高める要因には、次のようなものがあります。

1. 遺伝的要因

そもそも日本人はインスリン分泌能力が低い傾向にあり、さらに遺伝的に血糖値を下げる作用を持つホルモン「インスリン」が分泌されにくい方もいます。

両親も糖尿病である場合、子どもが糖尿病を発症する確率は約40~50%とされています。ただし、あくまでも「体質的になりやすい」だけであり、糖尿病そのものが遺伝する訳ではありません。発症には環境的要因などの外的因子が深く関わっています。

2. 加齢

加齢とともに、すい臓からのインスリン分泌は減少していきます。また、筋肉や活動量の低下、内臓脂肪の増加によって、インスリン作用の効果が落ちていきます。男女とも1年ごとに発症リスクが2%上昇するという報告*4があります。

*4(参考)糖尿病リスクを高める要因は?|財団法人 国際協力医学研究振興財団

3. 肥満

肥満になると、インスリンの働きが鈍くなります。たくさん分泌しようと、すい臓は働き続けますが、次第に疲れて、分泌量が低下していき、血糖値が下がらなくなります。BMIが1kg/m²増えると、男性・女性とも発症リスクは17%上昇します。

特に20代のときから5kg以上増えた場合には、そうでない方と比べて糖尿病発症リスクが2.6倍に上昇する報告*5があります。

4. 喫煙・飲酒

たばこを吸うことは、交感神経を刺激して血糖値を上昇させ、体内のインスリンの働きを妨げるとされています。

1日20本以上タバコを吸う方や1日1合以上飲酒する方は、しない方に比べて発症リスクの上昇がみられたという報告があります。特に女性では喫煙しない方に比べて約3倍のリスク上昇があります*6

*5,6(参考)糖尿病リスクを高める要因は?|財団法人 国際協力医学研究振興財団

5. 運動不足

筋肉はブドウ糖を取り込んで血糖をコントロールする働きを持っています。運動不足によって筋肉量が減ってしまうと、活動量も減少するので、ますます筋肉量が減少する悪循環が生まれ、基礎代謝量の低下を引き起こし、インスリンが効きにくくなる原因となります。また、肥満の要因にもなるので、心血管疾患の発症リスクの増加を招きます。

ほかにも、睡眠不足・疲労など不規則な生活習慣や精神的ストレスは2型糖尿病の発症に影響を及ぼします。

糖尿病の検査・診断

当院では、日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドラインに準拠した検査を行っています。
問診・血液検査・尿検査を中心に、必要に応じて様々な検査を組み合わせ、糖尿病の診断を行います。

糖尿病の検査

問診

自覚症状の有無、体重歴(特に過去最大体重と若いときの体重)、高血圧/脂質異常症など既往症、喫煙・飲酒・運動といった生活習慣、ご家族に糖尿病の方はいるかなど、詳しくお伺いします。

血液検査

糖尿病では、特に2つの成分について調べます。

  • 血糖値

血中の糖の濃度を調べます。血糖値は食事の前後で異なります。
主に「空腹時血糖」がインスリンの働きの指標となっており、午前中に測定する場合には、通常前日の夕食から約10~14時間絶食して頂いて測定となります。

  • HbA1c

赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合で、高血糖状態が続くと増えます。検査時から1~2か月前の血糖状態が分かります。

尿検査

尿中の糖やタンパクを調べます。血糖値がかなり高くなると尿に糖が出ます(160~180mg/dl以上)。また、糖尿病による腎障害を引き起こすと、尿にタンパクが出るようになります。
診断時以外にも、尿糖による血糖の推移や合併症の早期発見のため、定期的に尿検査を行います。

(画像)当院で使用している尿分析装置

糖尿病の診断の流れ

糖尿病と診断するには、高血糖状態の持続、症状、家族歴、体重などを踏まえた上で、検査によって以下のいずれかのケースに当てはまる必要があります。

糖尿病型を2回確認した場合

※血糖値での確認が1回以上必要。複数回検査してもHbA1c結果だけでは認められません。

血糖値での糖尿病型判定+慢性高血糖症状の存在を確認した場合

以下のいずれかの慢性高血糖症状がみられる場合には、血糖値が糖尿病型であれば、1回の検査で確定診断となります。

  • 糖尿病の典型的な症状(多尿・喉の渇き・体重減少など)
  • 確実な糖尿病網膜症

過去に糖尿病と診断されている場合

現時点での血糖値が糖尿病型以下であっても、過去に上記2つの条件で糖尿病型を確認している場合には、糖尿病として対応します。

糖尿病の治療

糖尿病治療では、1型・2型に関わらず生活習慣(食事・運動療法)の改善を柱に、必要に応じてお薬を使用して、適正な血糖値を目指します。脳卒中・心筋梗塞などの脳心血管疾患や神経障害、網膜症、腎症といった合併症、より病状が悪くなる増悪(ぞうあく)を防ぐためにも、早めに血糖コントロールを始めましょう。

ただし、現時点では糖尿病の特効薬がないので、根気よく自己管理を続ける努力が必要です。
当院では、無理なく続けられるよう、患者さんとよく話し合いながら、治療を進めていきます。
不安や疑問点などありましたら、お気軽にご相談ください。

糖尿病の治療目標

今のところ糖尿病は一度発症すると完治しません。しかし、適切な血糖コントロールにより、お薬の減薬や合併症の予防が期待できるため、糖尿病がない方と同じように健康寿命を保つことが可能です。

糖尿病の治療では、血糖値の正常化を目指すための指標として、HbA1c(%)値を使用します。

一般的な目標値は、以下の通りです。

※実際の目標値は年齢、罹患期間、臓器障害、低血糖*7の危険性など、患者さん個々に合わせて設定します。

*7低血糖:血糖が下がり過ぎて、手足の震え、動悸、異常な空腹感、場合によっては意識障害など引き起こします。その際は、速やかにブドウ糖・砂糖・ジュースなどで糖分摂取を行う。

  • 血糖正常化を目指す際の目標……6.0未満
  • 合併症予防のための目標……7.0未満
  • 治療強化が困難なときの目標……8.0未満

ただし、65歳以上の高齢者では心身機能の個人差が激しく、加齢に伴い重症低血糖の危険性も高くなるため、次の目標値となります。

※実際は患者さんに合わせた目標値を設定します。

患者さんの健康状態カテゴリーⅠカテゴリーⅡカテゴリーⅢ
・認知機能正常
   +
・ADL自立
以下のいずれか
・軽度認知障害~経度認知症
・手段約ADL(日常生活動作)低下/基本約ADL自立
以下のいずれか
・中等度以上の認知症
・基本約ADL低下
・多くの依存疾患
・機能障害
重症低血糖の危険ある薬剤*8の使用なし7.0%未満7.0%未満8.0%未満
あり65歳~74歳75歳~8.0%未満8.5%未満
7.5%未満8.0%未満
*8重症低血糖の危険のある薬剤例:インスリン製剤、SU薬、グリニド薬など
(表)糖尿病の高齢患者の血糖値コントロール目標(HbA1c値)

生活習慣の改善(食事療法・運動療法)

1型・2型に関わらず糖尿病治療の基本となるのが、食事や運動による生活習慣の改善です。

食事療法

糖尿病治療の土台となります。食事療法をおろそかにしてしまうと、薬物療法の効果が落ちる、体重増加や合併症に繋がるなどの悪影響があります。

<食事療法のポイント>

糖尿病の食事療法では、栄養素のバランス、食事時間、食べる順序、食べる速度などが重要です。とはいえ、全て完璧にこなそうと頑張り過ぎても、続けることが難しくなります。

継続が大切なので、できるところから少しずつ工夫しましょう。

  • 適正なエネルギー量を守る

肥満は糖尿病発症の危険因子です。適正体重を維持しつつ、日常生活に必要なエネルギーを摂りましょう。

摂取カロリー量の目安=「目標体重(kg)」×「身体活動レベルと病態によるエネルギー係数」

【目標体重 (身長×総死亡率が最も低いBMI値*9)】

*9BMI値:体重の程度を表す体格数値。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます。

・ 65 歳未満: [身長(m)]2×22
・ 65 歳から 74 歳: [身長(m)]2×22~25
・ 75 歳以上: [身長(m)]2×22~25

【身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(kcal/kg)の目安】

・ 座位などの軽い労作:25~30kcal
・ 座位が中心だが、通勤・家事・軽い運動を含む普通の労作:30~35kcal
・ 力仕事・活発な運動習慣がある重い労作:35kcal~

  • よく噛んで、ゆっくり時間をかけて食べる

ゆっくり食べると、満腹中枢を刺激するため、食欲を抑え、食べ過ぎ防止になります。

  • 食べる順番を考える
  1. 食物繊維が多い食材(海藻・キノコ・野菜類)など噛み応えのあるもの、消化に時間がかかるものから食べると、食事に時間がかかり、食べ過ぎ防止に繋がり、満腹感を得られやすいです。
  2. 肉類・魚介類・卵類・大豆・乳製品などたんぱく質を炭水化物よりも先に食べましょう。インスリンの効きが良くなり、食後の血糖値上昇を抑えられます。
  3. 最後に炭水化物(米・パン・麺類)を食べるようにすると、食後血糖値を抑えつつ、満腹感が得られます。主食には雑穀米・玄米・押し麦などおすすめです。
  • 間食を控える

間食すると、インスリン分泌のためにすい臓が働きます。頻繁な間食によって、すい臓が疲弊して、分泌能力の低下や血糖値の悪化に繋がります。

  • 寝る3時間前まで食事を摂る

食べ物の消化には約2~3時間かかります。そのため、食べてすぐ寝ると、消化されず、脂肪に吸収されてしまい、肥満に繋がります。

運動療法

運動によって身体活動量が増加すると、血糖値の低下だけでなく、体重・体脂肪・ウエスト周囲の減少、インスリン感受性、脂質の改善など、身体の健全化に効果的であることが分かっています。特に高齢者の場合には、近年問題となっている筋肉量の減少による転倒・骨折・寝たきりの原因となる「サルコペニア」の予防や気分転換に効果があります。

※持病がある方は医師に運動の可否、適切な運動量などを確認し、運動前後には、準備・整理運動を行っていましょう。

運動量の目安は1日15分~30分程度、週3回、汗ばむ程度(例:早歩きのウォーキング・自転車など)とされています。普段運動していない方は、「できるだけ歩く」「階段を使う」「自転車で買い物に行く」「ラジオ体操」「バランス運動」など、日常生活の中で身体活動量を増やすことから始めると良いでしょう。

薬物治療

1型糖尿病の方や、2型糖尿病で生活習慣の見直しだけでは不十分な方は、血糖値を下げるために薬物療法(内服薬・注射薬)を併用します。

患者さんごとの病態(インスリン分泌能力の低下・インスリン抵抗性など)から、総合的に判断してお薬を組み合わせ・選択します。

糖尿病治療薬は大きく分けて、以下のような3つに分けられます。

インスリンの作用を良くする内服薬(インスリン抵抗性改善薬)

  • ビグアナイド薬……第一選択薬(最初に選択する薬)
  • チアゾリンジン薬

インスリンの分泌を増やす内服薬(インスリン分泌促進薬)

  • スルホニル尿素薬(SU薬)
  • DPP-4阻害薬
  • 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
  • GLP-1受容体作動薬
  • αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
  • SGLT2阻害薬

インスリンを体外から補う注射薬(インスリン製剤)

※当院では、内服薬の治療は行っていますが、インスリン注射に関する治療を行っていません。インスリン注射を必要とする場合は、近隣の糖尿病の専門医療機関を紹介いたします。

なお、糖尿病のお薬は自己判断で中止したり、減量したりすることは大変危険です。

お薬の副作用や服用方法など気になる点がある場合には、医師までお気軽ご相談ください。

よくある質問

1. 糖尿病を予防するには、どうすれば良いでしょうか?

突然発症する1型糖尿病では原因・予防法は、残念ながら確立されていません。

しかし、糖尿病の大部分を占める2型糖尿病では、生活習慣が発症の要因であることが分かっているので、生活習慣の見直しは発症予防に効果的です。
日本糖尿病学会では、以下の7つの予防ポイントを挙げています。

  • バランスの取れた食生活
  • 間食・夜食を控える
  • アルコールはほどほどにたしなむ
  • 適正体重の維持
  • 毎日、食後に30分程度のウォーキング
  • ストレス解消
  • できるだけ禁煙する
1. 糖尿病ですが、別の病気にかかったときは、薬はどうすればいいですか?

糖尿病とは別の病気にかかって体調不良になったときなど、血糖コントロールが不安定になってしまう日のことを「シックデイ」と呼びます。原因となる病気は風邪・胃腸炎といったよくある病気以外にも、大きなストレスやケガなどが要因となります。

いつシックデイが起こるか分からないので、日頃からかかりつけ医とシックデイのときの薬や食事の扱いについて、相談して確認することが大切です。

シックデイのときは、以下の点に注意しましょう。

  • 水分を十分に摂る。
  • インスリンは基本的に中断せず、可能であれば血糖値を測りながら、打ちましょう。
  • こまめに血糖値を測って、経験したことがない高血糖値のときは、医療機関に連絡しましょう。
  • 飲み薬は、かかりつけ医の指示に従って服用しましょう。

院長からのひとこと

糖尿病は、目・腎臓・神経の深刻な合併症を引き起こします。また、動脈硬化から脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などになりやすくなります。そして、糖尿病の人は「認知症」になりやすいことも報告されています。のどがよく渇く、尿の回数が増えた、からだがだるいなど身体の症状や、両親が糖尿病で心配など、気になることがあれば気軽にご相談ください。

記事執筆者

相生山ほのぼのメモリークリニック 院長 松永 慎史
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  • 略歴・経歴

    • 2007年藤田医科大学医学部 卒業
    • 2007年藤田医科大学病院 研修医
    • 2009年藤田医科大学医学部 精神神経科
    • 2011年医療法人静心会 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 医長
    • 2014年藤田医科大学医学部 精神神経科講師
    • 2018年藤田医科大学医学部 認知症・高齢診療科(内科) 講師
    • 2020年相生山ほのぼのメモリークリニック開院
  • 所属学会

    • 日本認知症学会 専門医・指導医
    • 日本老年精神医学会 専門医・指導医
    • 日本精神神経学会 専門医・指導医
    • 日本精神神経学会 認知症診療医
    • 精神保健指定医
    • 難病指定医
    • レビー小体型認知症研究会 推奨医
    • 認知症サポート医

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