※他の心療内科・精神科へ通院歴のある方は、必ず紹介状をお持ちください。
他の心療内科・精神科へ通院歴のある方で紹介状のない方は診療をお断りしております。
当院では、日本老年精神医学会認定の日本老年精神医学会専門医である院長が、「認知症」をはじめとして、身体疾患に伴う「精神障害」ならびに高齢者に多く発症する「うつ病(老人性うつ)」「不安障害」「妄想性障害」などについて診療を行っています。
「老年精神科」と聞くと、少しお堅い感じがするかもしれませんが、簡単に言えば「高齢者のこころの病気の診療」、ならびに「お悩みをうかがう」ことを中心に行っております。
病気などにより身体が動きにくくなったことで、最近気分が塞ぎ込んでいるなど、ご不安・ご心配のある方はお気軽にご相談ください。
当院では、ご高齢者の以下のような「こころの病気」に対応しております。
※当院は予約優先制です。受診をご希望される場合には、あらかじめご予約(電話・WEB)ください。
なお、当院ではご家族が診察に同席されることも可能です。同席された際には、ご家族へ患者さんの対応について助言を行うことがあります。また、ご家族やパートナーが精神疾患を発症している場合には、患者さんとは別に受診されることも可能です。患者さんが受診出来ない方で、ご家族が患者さんについて相談したい場合は、自費になりますが精神保健福祉士による家族相談(30分3,300円)を実施しています。
うつ病とは「気分障害」のことで、こころに元気がない状態です。
どなたでも身体的・精神的ストレスなどによって、感情の起伏が起こることはあります。
しかし、「高齢だから仕方ない」と見逃されていた言動・症状は、もしかしたら「うつ病」によって引き起こされているかもしれません。
高齢者のうつ病は「老人性うつ」とも呼ばれ、他の年齢層と比べて、こころと体の結びつきが強いがゆえに、うつ病の発症をきっかけに他の持病が悪化したり、逆に持病がうつ病を併発させたり、治療の遅れによって重症化して介護が必要となる、といったような「高齢者特有のうつ症状」がみられます。
また、「元気がない」「一日中ボーッとしている」という様子から「認知症」と勘違いされることもありますが、症状の現れ方に違いがあったり、「認知症の前段階(見かけの認知症)」として現れたりしているケースもあります。何より、うつ病と認知症では治療法が異なるため、専門的な医療機関で診断のもと、早期治療開始が大切な病気なのです。
高齢者のうつ病の原因には、次のようなものがあります。
以下のような症状が現れ、長く続くことで日常生活に支障を来します。
精神的症状と比べて、身体の不調を強く訴えるケースが多いです。
上記のような症状がみられても、ご本人様やご家族の方が病気の判断を正しくつけることは、難しいでしょう。身体とこころの不調症状が2週間以上続いた場合には、必ず当院など専門の医療機関へご相談ください。早期診断・早期治療開始が大切です。
<高齢者のうつ病と認知症の症状の違い>
高齢者のうつ病の症状は認知症と似ている一方で、異なる点があります。
高齢者のうつ病 | 認知症 | |
症状の進行の仕方 | 何かのきっかけで急に発症・進行(数週間~数か月で進行) | 時間をかけて、ゆっくり進行(年単位の進行) |
初期症状 | 不眠・食欲低下など身体的な不調 | 物忘れ・記憶障害・性格の変化 |
主な精神症状 | ・気分の落ち込みが激しい・貧困妄想 | ・誰かが家の中に入ってきたと思い込む「侵入妄想」 ・物を盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」 |
物忘れ | ・加齢による自然現象程度・ヒントがあれば思い出せる ・日常生活に支障はない・忘れている自覚あり | ・体験したことの全体を忘れる ・ヒントがあっても思い出せない ・時間・場所などの見当がつかない ・日常生活に支障がある ・物忘れの自覚がない |
(表)高齢者のうつ病と認知症の違いのイメージ
→認知症については、以下のページにて詳しく説明しています。
うつ病では、「薬物療法」「精神療法」「生活環境を整える」といった3つの治療法が基本となります。
抗うつ剤を中心としますが、ご高齢の方では持病を多く抱えていることが多いので、他のお薬との飲み合わせに注意しながら処方していきます。そのため、受診の際には「おくすり手帳」をご持参ください。
当院には心理士が在籍しております。医師が必要と判断した場合、薬物療法と精神療法を併用して行います。
うつ病を改善するためには「安心して暮らせる雰囲気」が大切です。「孤独にしない」「無理のない程度で役割を与える」「地域活動への参加促進」「身体を動かす機会を作る」「外出して気持ちを外に向ける」など、環境面を整えましょう。
→老年期うつ病については、以下のページにて詳しく説明しています。
不安障害とは「不安な気持ちが異常に高まってしまうこと」であり、不安によって日常生活に支障を来している状態の総称です。代表的な疾患としては、「パニック障害」「社交不安障害」「全般性不安障害」があります。
これといった前兆もなく、突然に恐怖感・不安感に襲われることで、「息苦さ」「めまい・動悸」などの症状が現れます(=パニック発作)。パニック発作を何度か繰り返すと、いつ発作が起きるかという「予期不安」、電車内など密閉した空間で発作が起きるかもと不安になる「広場恐怖」といった症状も現れます。その結果、外出を控えるようになるなど日常生活に支障を来した状態となる「パニック障害」を発症します。なお、発作自体は30分ほどで治まります。
→パニック障害については、以下のページにて詳しく説明しています。
人の注目を集めるような場面で非常に強い緊張やストレスを感じて、「発汗」「震え」「息苦しさ」などの症状が現れます。次第に強い不安からの症状を見られたくないと感じ、人前に出ることを極端に避けるようになります。
毎日の生活の中で、自分ではコントロールできない程の過剰な不安や心配を長期に渡って持ち続ける病気です。尽きない不安と心配事のために、徐々に身体・精神症状が現れ、さらに不安が増幅して、ますます身体・精神症状が悪化するといった悪循環に陥ります。主症状には、「イライラ」「疲れやすい」「集中力の低下」「筋肉のこわばり」「不眠」があります。ただし、不安原因の特定が可能な2~3日程度の一時的な不安や緊張の場合は、全般性不安障害とは診断されません。
不安障害の基本的治療は、抗不安薬や抗うつ薬のSSRIによる「薬物療法」となります。高齢者の場合は飲み合わせにも注意して進めていきます。
そのほか、お薬以外の非薬物療法(いわゆる精神療法)として、医師が必要と判断した場合、不安や恐怖にとらわれている思考パターンを変えていく「認知行動療法」なども併用します。
→不安障害については、以下のページにて詳しく説明しています。
「妄想性障害」とは、妄想が強く、長期間続くことによって、想像世界があたかも現実であると確信して、日常生活に影響が及んでいる状態となる病気です。妄想以外の症状は目立たず、普通に生活しているように見えることが多いという特徴があります。中高年以降の発症が多くみられる精神的症状です。
妄想と言うと、誰でも一度くらい根拠のない想像をしたことがあるでしょう。
一般的に使われている「妄想」は、現実とは関係ないことを頭の中で思い巡らせている「空想」という意味に近いのですが、医学的用語の「妄想」とは、事実無根・非現実的な内容を確信していて、訂正不能で他者に理解されにくい信念のようなものを指します。こうした強い妄想から、自傷他害など何らかの「行動化」が現れると、トラブルに発展するケースがあるため、注意が必要です。
妄想性障害の主症状です。妄想のみが長く続きます。類似の症状が現れる「統合失調症」は、妄想が症状の中心になることはないという違いがあります。
統合失調症でみられるような、外からの刺激がないのに、何か聞こえると感じる「幻聴」や、考えが混乱して、一貫性がない「思考障害」は現れないため、妄想以外の事柄には正常な反応を示します。
高齢者では抑うつ症状や妄想に関する幻覚などが現れることで、イライラしたり不機嫌になったりするケースがよくあります。
妄想性障害は、妄想の内容によって以下の5つの型に分類されています。
被愛型 | 「ある実在する人物が自分のことを好きである」と妄想している |
誇大型 | 「自分は卓越した能力をもつ人間だ」と妄想している |
嫉妬型 | 「恋人や配偶者が不貞行為をした」と妄想している |
被害型 | 「誰かの陰謀や嫌がらせによって、自分は被害を受けた」と妄想している |
身体型 | 「自分が悪臭を放っている」など、とても醜い状態であると妄想している |
(表)妄想性障害の分類
これまでのところ、発症原因は明らかになっていません。
問診から診断されます。
妄想性障害の治療では、統合失調症の患者さんと同様に「薬物療法」を基本として抗精神病薬を用います。通常、症状が改善しても再発防止のため、お薬を続ける必要があります。一方で、お薬への反応が良くないケースが多々あります。
また、ご本人が病気にかかっていることを認めていない、もしくは家族・周囲に強い不信感を抱いていることにより、治療だけでなく受診自体が難しいケースもみられます。
治療中は患者さんの妄想を頭ごなしに否定するようなことはせず、一緒になって向き合っていくことが大切です。
→妄想性障害については、以下のページにて詳しく説明しています。