2023年10月31日(火)に緑文化小劇場で開催された「認知症ってなぁに?2023」に、講師として参加しました。主催者の皆さんには、かわいいポスターを作っていただきました、ありがとうございました。
また、会場もほぼ満席で、多くの方に参加いただきました。お忙しい中、ご来場いただき、誠にありがとうございました。
主催者からの希望もあり、認知症について、注意すべき初期症状、治療や対処、予防、認知症とどう向き合うのか、新薬レカネマブについてなど、幅広い内容をお話しさせていただきました(新薬の話などは、専門的な要素が強くてわかりにくかったかもしれません)。
講演後、後日、通院中の患者さんやご家族で講演に参加してくださった方から、
「わかりやすかった」
「家族としてどうすべきか、とても参考になった」
「新薬のことが良く分かった」
「もっと身近な話が聞きたかった」
などなど、たくさんご感想を頂戴しました。
思った以上に反響があり、とてもうれしかったです。
今後はクリニックでも、認知症やからだ、心の病気についての、患者さんやご家族向けの勉強会を企画出来たらなと思っています。
話題のレカネマブについては、現在、厚生労働省を中心に最適使用推進ガイドラインの作成が進んでいます。
私もレカネマブの論文を一通り確認しましたが、
メリットとしては、
・進行抑制効果(27%進行を遅らせる。言い換えれば73%は進行する。臨床医からすると、効果自体は小さい印象です。)
デメリットとしては、
・副作用として、ARIAと呼ばれる、MRIでみられる脳の出血や浮腫の頻度が高いこと、その長期的な安全性が不透明であること。アルツハイマー病のリスク遺伝子であるAPOE4をもつと、ARIAのリスクが大幅に増加することにも注意が必要。
・注射に伴う副作用も26%程度で発生する
・臨床試験の平均年齢が71歳、MMSEの平均点が25点、若くて、健康で、認知機能の高い方が主体に参加した試験であり、現実的に対象となる患者さんは少ないとおもわれること(当然ですが、高齢で基礎疾患のある方などは、副作用のリスクがより高くなると考えられます)
などなど、論文を読む限りは、レカネマブのメリットは小さく、デメリットの方がとても大きい印象です。さらに、高額な費用を誰が払うのか、2週間に1回1時間の点滴通院をどうするか、副作用が出た場合どう対処するのか、など他にもたくさんの議論すべき問題があります。
今月末には、日本認知症学会が奈良で開催されますが、2023年11月26日(日)には、レカネマブに関する専門医向けの講習会も開催される予定です。私も参加申し込みをしましたので、講習会の内容についても、また報告出来たらと思います。