2025年12月、当クリニックは名古屋市の「認知症疾患医療センター^*」に認定されました。これまで培ってきた地域医療の経験とネットワークを活かし、認知症の早期発見から治療、そしてご家族を含めた支援体制の構築まで、より専門的かつ包括的に対応できる体制を整備。地域の皆さまが安心して相談できる“認知症医療の窓口”として、医療と介護・福祉の連携を強化しながら、認知症とともによりよく生きる地域づくりに貢献してまいります。

^* ：名古屋市では9院（内クリニックは2院）

当院は地域の医療機関や、「基幹型」「地域型」の認知症疾患医療センターとも密接に連携。患者さまの症状や状況に応じて最も適した医療機関をご紹介しています。検査や治療の目的を共有しながら、一体となって診療を進めていきます。

大規模病院にご紹介するのは、アルツハイマー病に対する抗体療法の適応を詳しく調べたり、実際に治療導入したりする場合など、大規模病院でしか対応できないケース。認知症疾患の中では、進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病など、診断そのものが難しく高度な判断を要するケースなどです。一方、地域型の精神科病院におつなぎするのは、在宅や外来での診療が難しいほど行動・心理症状（暴言・興奮・徘徊など）が強く、安全な診療・介護を継続するために精神科に入院が必要な場合です。

「最近、同じ話を何度もしている」「予定をすぐに忘れてしまう」「財布や鍵を置いた場所を思い出せない」――。こうした変化に気づくと、どなたでも不安になりますよね。ご本人にとっても、ご家族にとっても、戸惑いや心配は尽きないことと思います。

認知症は“早く気づくこと”が何より大切です。早期に診断がつけば、治療や介護の準備はもちろん、任意後見制度など将来に備える手続きをご本人の意思で進めることができます。一方で、症状が進むと判断や手続きが難しくなり、ご家族だけでは対応しきれないケースも少なくありません。

ご紹介の入口は実にさまざまです。

• かかりつけ医の先生
• 老健（介護老人保健施設）や特別養護老人ホーム
• 有料老人ホーム
• デイサービス
• ケアマネジャー
• 地域包括支援センター
• 民生委員の方々
  など

地域の多くの専門職の方々からご連絡をいただいています。当院は日曜・祝日を除いて、毎日外来を開け、初診を受け入れる体制を整えています。気になることがありましたら、どうぞ遠慮なく、まずはお電話でご相談ください。

また、私やスタッフが講師を務める小規模なセミナーを定期的に開催し、認知症に関する正しい知識やケアの方法を地域の方々とともに学ぶ場も設けています。さらに、地域で対応に困っている事例を持ち寄り、医療・介護・福祉が連携して最善策を話し合う「症例検討会」も継続的に実施しています。加えて、当院は名古屋市緑区のいきいき支援センターと連携し、住民向けの認知症関連イベントにも積極的に参加しています。具体的には、名古屋市緑区のいきいき支援センターが主催する、住民向け認知症啓発イベント「認知症ってなぁに」への参加や、小・中・高校で実施される認知症サポーター養成講座では講師として参加し、地域全体で認知症を正しく理解し、安心して暮らせるやさしいまちづくりに貢献しています。

高齢化社会において、認知症疾患医療センターという、“ここに行けば専門医がいる”ことが明確にわかる拠点、安心して相談・受診できる施設の存在意義は極めて大きいといえます。

私はお年寄りの診療が好きですし、ご家族の支援や地域社会への発信を含めて、認知症医療を押し進めることに大きなやりがいを感じています。認知症医療の“最初の窓口”として多くの患者さまを受け入れられるよう、初診の方も積極的にお迎えしていきます。患者さまもご家族も、そして地域の関係者の皆さまも、気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。