2023年4月14日から発売 アルツハイマー型認知症治療薬 アリドネパッチについて

  • 2023.03.21

2022年12月23日、アルツハイマー型認知症治療薬であるドネペジルの貼付薬(商品名:アリドネパッチ)が承認され、2023年4月14日から発売されます。

アリドネパッチは、すでに、コリンエステラーゼ阻害薬として販売されている、ドネペジルの貼付薬で、全く新しい薬というものではありませんが、私としましては患者さんやご家族に提案できる治療の選択肢が増えて、うれしく思っています。

用法・用量は、アルツハイマー型認知症の軽症~中等症の患者さんには1日1枚27.5mg、高度の患者さんには最大1日1枚55mgまで増量可能です。

使い方は、背部、上腕部、胸部に貼付し、24時間毎に貼り替えることになっています。

このドネペジル貼付薬(アリドネパッチ)は、アルツハイマー型認知症の方を対象とした国内第III相試験で、ドネペジル経口薬と有効性に統計学的な有意差はないことが報告されています。

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ)で頻度の高い副作用としては適用部位紅斑24.9%、適用部位そう痒感22.5%、及び接触皮膚炎11.0%と、張った部位の皮膚に対する副作用が多いことが報告されています。皮膚の副作用が多い印象ですが、同じコリンエステラーゼ阻害薬のリバスチグミン貼付薬の国内第II相/第III相試験の結果では、適用部位紅斑39.4%、 適用部位そう痒感34.8%、接触性皮膚炎 23.7%と報告されており、直接的には比較は出来ませんが、リバスチグミン貼付薬よりも、もかしたら皮膚への副作用が少ないかもしれません。

ドネペジルの経口薬で時々見られる、吐き気、嘔吐、下痢など消化器系の副作用については、3%未満の発生率のようで、経口薬と大差はなさそうです。

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ)の薬価は、

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ) 27.5mg 289.8円

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ) 55mg 441.4円

と、新薬のため、薬価が高く設定されています。現在、ドネペジル経口薬の薬価が、

ドネペジル5mg 61.7円

ドネペジル10mg 106.9円

なので、薬価にかなり差があります。

後、張り薬なので、その大きさも気になるところですが、

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ)のサイズは、

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ) 81mm×81mm

ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ) 89mm×134mm

です。リバスチグミン貼付薬は円形で、最大の18mgで面積が10cm2ですので、比べるとかなり大きいですね。

今のところ、皮膚の副作用や、費用対効果を考えると、ドネペジルの内服が困難な方が、ドネペジル貼付薬(アリドネパッチ)の対象になるのかなと考えています。しかしながら、臨床試験のデータを細かく見ると、他に利点があるかもしれないので、国内試験の論文やデータを取り寄せて、細部まで確認してみようと思っています。

皆さんの役に立つような、新しい知見があれば、またブログで報告したいと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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