患者さんやご家族から、「認知症は治りますか?」と質問を受けることがあります。医師としては、治りますよと言いたいのですが、現実的には、
「治る可能性のある認知症と、治らない認知症があります」
とお答えしています。
認知症には様々な原因があります。
中でも、治る可能性のある認知症の原因として、
・慢性硬膜下血腫
・正常圧水頭症
・脳の腫瘍
・お薬の副作用によるもの
・アルコールによるもの
・甲状腺機能低下症
などがあります。
アルツハイマー病、レビー小体病などの、脳に異常なタンパク質が蓄積する疾患は、現状は残念ながら治すことはできません。治せない一方で、進行を遅らせる治療や、様々な症状を緩和する治療は少しずつですが、発展してきています。
アルツハイマー病においては、“Aducanumab”という、アミロイドに対する抗体療法が、臨床第3相試験は中止になったものの、高用量群で有効性を認めたとのことで、米FDAに申請中となっています(この“Aducanumab”も、臨床試験の結果を見る限りは治すよりも、“進行を遅らせる”に近い印象です)。
兎にも角にも、認知症は、認知症になる前に予防すること、早期発見と早期治療が大切です。
・最近物覚えが悪い
・同じ話を何度もする
・両親の様子がおかしい
・パートナーが最近怒りっぽくなった
など、些細なことが予兆な事もあります。気になる症状がございましたら、お気軽に受診ください。
*名古屋市の方は、65歳以上の認知症でない方を対象に年1回、もの忘れ検診が無料で受けられます。当院でも行っていますので、お気軽にご連絡下さい。