専門医による認知症外来・もの忘れ外来

当院では、専門医による認知症外来・もの忘れ外来を併設しています。
認知症の診断、治療、予防、ご家族の介護相談、そして認知症予備軍(軽度認知障害)の早期発見、早期治療、予防にも努めています。専門医だけでなく、看護師、心理士、精神保健福祉士と多職種で総合的にサポートいたします。お気軽にご相談ください。
認知症とは

認知症とは、認知機能障害(記憶障害、遂行機能障害、失語など)によって、日常生活に支障をきたしている状態を言います。認知症は、老化が原因ではなく、何かしらの病気によって脳の神経細胞が壊れてしまうことで発症する病気の総称になります。
以下のような症状に心当たりあれば、ご本人様でも同居されているご家族の方でもかまいませんので、一度ご相談ください。
- もの忘れがひどい
- 同じ話を何度もする
- 場所や時聞がわからなくなる
- 人柄が変わってしまった
- 判断や理解力が低下している
- 何事にも意欲がみられない
- 不安感が強い
- 最近怒りっぽくなった
- 幻が見える など
診察の流れ
初診の流れ
- 初診時はできる限りご本人の生活について詳しいご家族に付き添いをお願いしています。
- 初診時、ご本人には認知機能検査を受けていただきます。その間にご家族にはご本人とは別の診察室で、ご本人の日常の様子やお困りのことについてお話しいただきます。
- 医師の診察の後、必要に応じて頭部CT検査や血液検査などを当日に行います。
- 2回目の受診時に結果説明を行い、治療や対処についてご説明いたします。
※必要時には連携医療機関で頭部MRI、脳血流シンチ、MIBG心筋シンチなど精密な検査を検討します。
再診の流れ
- 再診では定期的に認知機能検査を行い、状態を評価しながら治療を再考していきます。
- 介護やケア、制度の相談なども承ります。わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
- 精神的な症状や、お体の病気も一緒に診察していきます。
- ご本人のお気持ちを尊重して診療いたしますが、ご家族のお話やお気持ちも大切にしたいと考えています。ご本人の前でお話ししづらい事がありましたら、受付時や診察時にお申し出ください(お手紙などお渡しいただいてもかまいません)。
皆さまを取り巻く関連機関と連携してサポートします

より良い医療を提供することを目標に、かかりつけ医の先生、総合病院、担当のケアマネージャー、地域包括支援センター、介護施設、訪問看護ステーション、薬局、市区町村の役所、保健センターなど、皆さんを取り巻く関連機関と連携してサポートします。
認知症に関わる各種診断書も作成いたします
- 介護保険の主治医意見書
- 運転免許更新に関する診断書
- なごや認知症の人おでかけあんしん保険
- 自立医療支援医療(精神通院)
- 精神保健福祉手帳
- 施設入所に関する診断書 など
その他、必要な書類がございましたらお気軽にお申し出ください。
※書類作成には、1週間程度お時間をいただいています。
※書類の内容によっては精密な検査が必要な場合がございます。
もの忘れ検診について
当クリニックでは、もの忘れ検診も実施しています。対象は65歳以上の名古屋市民の方(認知症と診断を受けていない方)で、年1回無料です。もの忘れ検診では改訂長谷川式簡易知能評価スケールとDASC-21を用いて総合的に認知機能と生活機能を評価します。当クリニックではもの忘れ検診において認知症の疑いがあった方の精密検査も実施可能です。お気軽にご相談ください。
認知症の種類について
認知症の中で最も患者数が多いとされるのがアルツハイマー型認知症です。次いで、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭葉変性症が多く、上記で挙げた4つの病気が原因で発症する認知症は全体の9割を占めると言われています。他にも認知症の原因となる病気はいくつかあります。
認知症の原因となる主な病気
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβなど特殊なたんぱく質が脳に蓄積していき、これによって脳の神経細胞が減少していきます。その結果、もの忘れや以前出来ていたことが徐々にできなくなっていきます。
レビー小体型認知症とは
α-シヌクレインをはじめとしたたんぱく質が、脳に蓄積して発症します。症状として、物忘れをはじめとした認知機能障害、1日の中でも調子が良いときと悪いときがある、幻がみえる(幻視)、パーキンソン病の症状(手足が震える、表情がかたい、動作が減る・ぎこちない など)、夜間に大声をあげる・あばれる(レム睡眠行動異常)などが特徴的です。なお、レビー小体型認知症では物忘れの症状が初期には軽いことが多く、他の病気と診断されることも少なくありません。
前頭側頭型認知症とは
高齢者よりも40~60歳代に発症する患者さんが多いとされています。原因となるタンパク質は様々あり、前頭葉や側頭葉を主体に脳の神経細胞が減少していきます。主な症状は、他人に配慮することができなくなる、周りの状況にかかわらず自分が思った通り行動してしまう、といった性格変化や行動異常がみられます。物忘れは目立たないことが多く、精神疾患と間違われることも少なくありません。
血管型認知症とは
主に脳血管障害(脳梗塞、脳内出血など)がきっかけとなって発症する認知症です。脳血管障害の部位によってそれぞれ異なった認知機能の低下がみられ、記憶の障害、言語の障害、運動・感覚障害、情動失禁など様々な症状がみられます。
認知症の治療について

アルツハイマー型認知症の場合、病気の進行を遅らせる治療薬のほか、精神症状(不安、焦り、怒り、興奮、妄想など)があれば、その症状に応じて他のお薬の治療も行います。
レビー小体型認知症も、病気の進行を遅らせる治療薬のほか、パーキンソン症状、幻視、レム睡眠行動異常、便秘、立ちくらみなど、それぞれに症状に合わせてお薬や生活指導を行っていきます。
前頭側頭型認知症は、有効な治療法が現時点では確立していません。ただ特徴的な症状があれば、対症療法として抗精神病薬が使用されることもあります。
血管性認知症では、脳血管障害が再発することで症状をさらに悪化させるので、発症リスクを高くさせる高血圧、糖尿病、心疾患などの治療をしっかり行い、脳梗塞などの再発を予防いたします。
また、お薬の治療以外にも、精神的な症状の治療や、予防や介護の助言も並行して行います。ご本人だけでなく、ご家族のお気持ちや体調にも、できる限り配慮しながら診療いたします。