皆さん、コーヒーは日常的に飲まれますか?私は、1日2回、朝・昼とカップ1杯飲んでいます(ほとんどインスタントですが・・・)。今回は、アルツハイマー型認知症とコーヒーの話です。
アルツハイマー型認知症とコーヒーの関係についての研究は、以前からたくさん報告されています。
その中で、一部の研究では、コーヒーの摂取が認知機能を保護する可能性が示されています。コーヒーには多くの抗酸化物質が含まれており、これらが脳細胞を酸化ストレスから守ることで神経変性を遅らせる可能性があること、またコーヒーに含まれるカフェインは中枢神経系に刺激を与え、覚醒状態を維持する助けとなり、認知機能の維持や改善に寄与する可能性が考えられています。
しかしながら、一部の研究では、コーヒーの摂取がアルツハイマー型認知症のリスク低減に直接的な影響を持たないと報告されています。また、コーヒーの摂取量や頻度、個人の遺伝的要因や生活習慣によって効果が異なる可能性があるため、結果にばらつきがあります。
最近の系統的レビューとメタ解析(世界中の関連する研究を網羅的に集めて、評価・解析する手法です)の結果では(1)、アルツハイマー型認知症とコーヒーの関連性について、11本の研究が報告されており、それらをメタ解析すると
・1日1~2杯のコーヒー摂取者は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが有意に低下する(相対リスク [RR] = 0.68, 95% 信頼区間 [CI] = 0.54 ~ 0.83)
・1日2~4杯のコーヒー摂取者は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが有意に低下する(RR = 0.79, 95% CI = 0.56 ~ 1.02)
・1日4杯以上のコーヒー摂取者は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが増加する可能性がある(RR = 1.04, 95% CI = 0.91 ~ 1.17)
上記の結果をまとめると、「1日1~4杯程度の適度なコーヒー摂取はアルツハイマー型認知症のリスクを減少させる可能性がある」と考えられます。
一方で、アルツハイマー型認知症とコーヒーの関連についての研究の多くは観察研究であること、研究間のばらつきがあること、大規模な無作為化比較試験は行われていないことなどから、あくまで「可能性がある」程度の結果だと思います。
それでも、1日1-2杯のコーヒータイムで、アルツハイマー型認知症の予防ができる可能性があると思うと、コーヒー好きの私には、うれしい研究結果だと思います。
これからも、面白い研究論文がありましたら、また報告いたします。
これから暑くなりますが、皆さまお体に気を付けてお過ごしください!
(1)Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Nila IS, Villagra Moran VM, Khan ZA, Hong Y.
J Lifestyle Med. 2023 Aug 31;13(2):83-89. doi: 10.15280/jlm.2023.13.2.83.