2月になりましたが、まだ寒い日が続いていますね。外来では、年末年始に比べてインフルエンザやCOVID19など感染症の勢いは減ってきたように思いますが、まだまだ油断は禁物と思います。
今日は、先日に患者さんとご家族から「アルコールを飲むと認知症になりますか?」という質問を頂戴しましたので、簡単にお話ししたいと思います。
最近のアルコールと認知症に関する研究では、Rehm先生たちがAlzheimer’s Research & Therapyに系統的レビューの包括的な調査結果を報告しています1)。この研究結果では、
・2000年1月から2017年10月までに発表された系統的レビューが合計28本あった
・これらの研究結果からは、軽度から中等度のアルコール摂取は、認知機能障害や認知症のリスク低減と関連している可能性が示唆された
・一方で、過度のアルコール摂取は、脳構造の変化、認知機能障害、そして全てのタイプの認知症リスクの増加と関連している可能性が示唆された
簡単にまとめますと、「適度なアルコール摂取は認知症のリスクを軽減させるが、過剰に摂取すると認知症のリスクが増加する可能性がある」となります。
それでは、適度なアルコール摂取とはどの程度でしょうか?
論文を読む限り、適度なアルコール摂取は、おおむね1 ~2drink(アルコールで約10-20g)を指し、過剰なアルコール摂取はおおむね3drink(アルコールで約30g)以上のようです。
アルコールの種類ですと、
・日本酒(15%) 180ml(1合)約21.6g
・ビール(5%) 500ml 約20g
・ワイン(12%) 200ml 約19.2g
・ウイスキー・焼酎(40%)60ml(ダブル)約19.2g
上記までが、適量になる計算です。
これ以上飲むと、認知症のリスクが高くなる可能性がありますので、注意が必要ですね。
また、認知症以外にも、アルコールは毎日、大量に摂取するとアルコール依存症を発症してしまいますので、注意が必要です。
アルコール依存症にならないためには、
・1合以上のお酒を飲まない
・食事と一緒に飲む
・休肝日を週2日つくる
・お酒を飲むなら夕方以降から
・アルコール以外でストレス発散できる趣味をもつ
など、日ごろから気を付けると良いと思います。
ちなみに、私は、最近は日本酒にはまっていて、お猪口1杯を週3-4日飲んでいます。
適度な量は、個人差があるかと思いますが、今回のお話が、少しでも皆さまのアルコールとのお付き合いの参考になればと思います。
このブログでは、引き続き患者さんやご家族の質問にお答えしていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いします。
Rehm J, Hasan OSM, Black SE, Shield KD, Schwarzinger M.Alzheimers Res Ther. 2019 Jan 5;11(1):1. doi: 10.1186/s13195-018-0453-0.